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小説の続き
約束の日の朝。
エースはよく眠れなかったせいで瞼が重かった。
ルフィに会ったら、何を話そうか。
離れ離れだった5年間のことを打ち明けて、
どれだけルフィに会いたかったかを早く話したかった。
そうしてこの城のお目付係であるジンベエが部屋に入ってきた。
「ルフィという男がお前さんに会いたいそうだ」
「ルフィ!?来たか! 早く通してくれ!」
今すぐ飛び出して迎えに行きたい衝動を必死に抑えた。
すぐに廊下から人の足音が聞こえてきた。
襖がゆっくりと開く。
「ルフィ・・・・」
そこには立派な青年となったルフィがいた。
かつての面影は残されているが背は高く、手足は着物から細長く延びていた。
黒髪の散切り頭と、頬下の傷。
エースは言葉を忘れてルフィに歩み寄った。
「・・久しぶりだなァ・・!ルフィ・・・!!会いたかった」
ルフィは無言のまま、立ち尽くしていた。
「どうした?」不審に思ったエースがふいにルフィの肩に触れようとした。
その瞬間、エースの手を振り払った。
ぴりり、と掌に痛みが走る。
わけもわからずルフィを見つめた。
「・・・・・・」
一言も話すこともせずうつむき、目線を会わせようともしない。
前髪の影から除く眼光はまるで野犬のように鋭かった。
様子がおかしいルフィをエースは理解できないままでいた。
「エース・・おれは・・・・・ずっと信じてた」
「な」
がたん、
エースが反射的にかわしたが頬から鮮血が流れる。
ルフィの手には懐から取り出した小型ナイフが握られていた。
先にはエースのものとみられる血が付着している。
信じられない光景にエースは眩暈がした。なにが、どうなってるんだ。
ルフィがおれに本気できりかかってくるなんて、理由がわからない。
ルフィは悪びれずにそのまま近づいてエースを壁に押しつけた。
やられる。
本能がそう告げている。コイツは本気だ。
「・・・一体どうしたってんだ・・・」
喉元にナイフを付きつけられたまま苦しげにルフィに問う。
「ずっと・・探してた。でも会いたくなかった。
・・・村のみんなの仇だ」
きゅ、とナイフを握る拳に力が籠るj。
過去のルフィとは似ても似つかない。飢えた目つきにエースは圧倒された。
ルフィをこんな風にしてしまった原因は、おれにもある。
このまま、終わるのか。
震える喉仏に冷たい刃が触れているのを感じた。
エースは諦めたように目を閉じた。
弟に殺されるのは、そんなに耐えられないものでもなかった。
そもそも弟のために命さえ捧げる覚悟で今日まで生きてきたのだ。
つづく
誤字ありそう・・・